（Yumi)

最終日の朝。

ホテルのプルメリア・カフェで

鳥のさえずり、そして波の音を遠くに聞きながらの最後の朝食をプルメリアカフェでとり、ホテルをチェックアウト。成田での経験があったので、またSanaeさんたちを怒らせてはいけないと、家族三人は先にゲートに入ってもらう。これ、大正解でした。

当然のごとく、ふぁぶのパスポートではイージーチェックインできず、（このくらいではもう驚かない）並んで待ち、お姉さんに発券してもらおうとしたところ、「あら、あなたは日本に住んでいないのね」ほーら、チェックが入った！
ふぁぶ「はい、フランスにすんでいます。あさってパリに帰ります」
お姉さん「じゃ、成田からパリまでのチケットを見せてください」
ふぁぶ「えっ、そんなの日本においてきたんですけれど」

ここでお姉さん一言「OH、OH、ビィーック　プローブレーム！」
ええっ！

国際条約で、日本を経由して他の国に行く外国人は、日本の前の国(この場合アメリカ)で、最終到着地（この場合フランス）のチケットを見せなくてはいけないんだそうだ。私たち、全く知りませんでした。
「えっ、じゃぁどうなるんですか」
「彼はアメリカから出ることができません」
…。
（私に向かって）「あなたはいいのよ。もうチケットも発券されたでしょ」
そんな !!
きっと私たちがよくわかっていないのだと、何度も聞き返すが、やはり聞こえてくるのは
「He can’t leave, he has to stay here!」

はじめはふざけて 「じゃ、ふぁぶ、イルカたちによろしく」 なんていっていたのですが、全く笑えなくなってきました。まさか、こんな映画みたいなことが自分たちに起こるとは。そうやってどこの国にも拒否されて、空港に住んでいる人って本当にいるっていうものね。でも、ここだったら、天気もいいし、人も親切だし、イルカもいるし、中東の国の空港なんかより怖くないしいいかもね。英語もきっと上手になるよ、など不謹慎なことをちらりと考えました。ごめん、ふぁぶ。

とにかく、日本に戻れる唯一の方法はここで成田→パリの切符を買うことだ（！）といわれ、カウンターにいってくださいと言われる。そこで出てきたお兄さんもとてもいい人だったけれど、同じことを繰り返すだけ。そりゃ法律を知らなかった私たちが悪いかもしれないけれど、日本の旅行代理店からも何も言われなかったそうだし、成田でも何も言われなかったのにひどいじゃないですか！といってみても、すまなそうに「ソーリー。その代わり、ここで買うチケットは正規チケットだから、成田で事情を説明してもらえば、お金をお返しするリファウンドチケットです」という答えしか返ってこない。でも、そのお値段を聞いてびっくり。成田→パリが3000ドル！

飛行機の出発時間まであと一時間に迫っています。

「もう、仕方ないよ、お金は戻ってくるんだし」、とカードを出しかけたふぁぶの手を抑えて私は言いました。
「私、やっぱり英語をきちんと理解していないと思うので、日本語かフランス語かわかる人を出してもらえないでしょうか。そんな大金がかかわってくるなら、きちんと理解したいですから！！」

私たちを哀れに思ってくれたのか、「日本のノースウエストを訴える！」と叫んだのが（訴えるだなんて…自分で言っていて、フランス人みたいで最悪！と思いました）きいたのか、日系のおじさんがでてきてくれました。そこでもやはり同じ説明。でもやはり！持つべきものは（会うべきものは？）異国でのやさしい日本人。交渉の後、今回だけは特別に、乗せてもらえることになったのでした。ふと横を見ると、ふぁぶと同じ状態で、チケットを買っている人々が…。5人はいました。おじさん本当にありがとう！

そんなこととはつゆ知らず・・・

急いで、ゲートをくぐると、お買い物中のSanaeちゃんとMariちゃんに再会。
「えぇっ、今入ったの？遅かったねー」
…たいへんだったのよぅ！思わず涙ぐむ私にSanaeちゃんの冷たい、でも的確なお言葉。
「まぁ、そのふぁぶのパスポートが悪いね。もう呪われてるね」
（Mariちゃん、笑いながらもうなずく）

…こうして私たちのハワイ旅行は幕を閉じました。
美しい海、おいしくてビックサイズなお食事たちよ、ありがとう。また会う日まで。
Kazさん、楽しい旅行を企画してくれて本当にありがとう。
Sanaeちゃん、お誕生日を一緒に祝えてうれしかったです。ありがとう。これからも益々美しくいてください。
Mariちゃん、いろいろ楽しかったね。ふぁぶとも遊んでくれてありがとう。
ふぁぶ、いろいろ大変だったね、おつかれさま。今となっては笑える思い出をありがとう。でも、もし次回参加したいなら、国籍変えてきてください…

（Kaz)

わずか四泊六日の慌ただしい休暇旅行だったが、家族四人久しぶりにハワイで過ごせたことは大きな喜びだった。娘達もそれぞれの仕事の都合で、学生時代のように揃って長い休みを取ることが難しくなってきているが、毎年一度せめて一週間位は家族水入らずで休日を過ごすことが出来れば、と思う。その時は家族の人数がさらに増えることを期待しつつ・・・・

ではアローハ（さようなら）。

　【2005年09月30日　校了】